宇宙は何色 tefutefu38

日々の暮らしの中で

  ユリゴコロ

 いくつかの書評で、沼田まほかるさんのミステリー小説「ユリゴコロ」がすごい。
面白い。深い愛の物語。新感覚。この本が売れて、牽引されるように先に出した
「九月が永遠に続けば」と「アミダサマ」の本も売れている。


とかかれていたので、新感覚なミステリーって どんなんだろうと読みました。
たしかに、日常の感覚の延長線にある善悪を超えた場所に根ざした愛を表現していて
引き込まれるように一気読み。


最後の何ページかの結末は、少しご都合主義の腰砕け感もありますが、ある種の
大団円で幸福の形、作品の結末としては最後に救われた感じがするのも確かで
善悪をも超える「物語」の力を見せつけられた気がします。



ストーリィは、偶然見つけたノートに殺人をおかした事が綴られていて・・
その手記を中心に現実の時間が交錯しつつ、展開していくのですが、
手記の部分にぼんやりした人の思考・サイコノエティックな世界がよく現われていました


アストラル界は、物質の世界より波動が薄く時間感覚がないためにぐにゃりとした
感覚があるのですが、それを筆力で表して、読者に経験させるなんてすごい!!と
おもいました。


そして、そのノーマルでない思念の世界のリアル感は、自分にも伝染しそうで確かに
気持ち悪くて怖いです。


沼田まほかるさんは、プロフィールによると主婦で僧侶。会社経営をへて50代で
初めて書いた長編小説「九月が永遠に続けば」が2004年ホラー大賞をとり
作家デビューしたそうです。



50代で表現者としてのデビュー これは、個人化と表現をテーマとしている
私にとって年齢は関係ない。可能性はいくつからでも。
というニュースとして希望が持てました。


事実、それまでのミステリー界は 同点だと若い書き手が「将来性があるから」
と歓迎されていたそうです。それを、押さえてのホラー大賞の受賞。
生活経験によって熟成された世界観と文章力のすごさの証明といえるでしょう。


ユリゴコロ

ユリゴコロ

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)


「九月が永遠に続けば」の方は、文章は、じょうずだなとおもいましたが、
お話の為のお話の感がありました。自分の好きじゃない内容だからだとおもいます。
それでも、結末がどうなるのか気になり一気によんでしまいました。