宇宙は何色 tefutefu38

日々の暮らしの中で

 夜の写本師 その他

夜の写本師

夜の写本師


これを読まずして 日本のファンタジーは語れない!


とか、すごい新人があらわれたとか、読書界を瞠目させたとか 
評判が良くて 面白そーだったので読んでみました。
マイアミで読み始めたのですが、面白くてお話の中にぐいぐい引き込まれ
帰りの飛行機でも 長いフライト退屈しませんでした。



ストーリィの隠れた軸に女性性があり、輪廻と宿命の物語です。
そのため、単純な敵味方の図式や善悪をこえたお話になってます。



すごいなって思ったのは、魔道師は闇を抱えてこそ、魔道師。
自己を誤れば、闇に食われて落ちてしまう。と設定しているところ。
それが、ストーリイにスパイスのように効いてきます。


この光と陰・やみを抱えると言う想定は、光が濃くなれば影も濃くなるという
ヒーリングの世界観につうじるものがあります。



魔法の成り立ちや考え方が日常の延長上にあり、魔法の本の制作の様子は
日本の指物師のような伝統工芸職人の世界をかんじさせます。そのため
あり得ない話じゃない。と、すんなりと物語の世界へと誘われます。


言語や文化を超えて、世界でも読まれていくといいなと思いました。


あとがきを井辻朱美さんが書いてらっしゃるんですが、魔法ファンタジーの
流れが書かれていて これもまたおもしろかったです。




アミダサマ (新潮文庫)

アミダサマ (新潮文庫)

これは、マイアミに行く飛行機のなかでよんだのですが、
相変わらず 練り香のような 巧い文章と物語でした。ホラー小説に入るかなと
おもいます。物語としての了解をもって読めるのは、作者の生きてきた歴史が
反映してるのかなと感じます。力量とひょうげんするものかもしれませんが。


巧すぎて 生理的に気持ち悪いところもあり 少し飛ばしつつ読みました。


面白いのは、上記2作とも 最後に 誕生する・産まれる という事で
物語を終了し、読者を物語から解放する橋につかってます。
女性の作家だからでしょうか。



ヒトリシズカ (双葉文庫)

ヒトリシズカ (双葉文庫)

これもマイアミ組です。あちらではテレビは見ないので本を読む時間を
とることができました。ヒーリング関係の本ももっていったのですが、
日中の授業で 一杯一杯で、脳が限界。授業が終わった後また、同じ分野を
読むのはさすがにできませんでした。


これは、テレビで大好評だった「ストロベリーナイト」の作者の作品です。
主演の竹内結子さん かっこ良くてきれいでしたね。はまり役だとおもいます。



こちらも、暴力シーンなどがあるのですが 文章の質が沼田さんのと比べると硬質
なため、生理的な感覚は起きずに、物語として了解しつつ 話を読むことができました。



普通に生きるには 何かがこわれてしまい 普通の枠で生きる人間からみると 
不気味で邪悪な存在としてみえる主人公は 関わるものを破滅させつつ
自らの価値観に従い 孤独を生きてるかにみえるが、
・・ネタバレになるので省略・・



読み終わった後 ヒトリシズカという題名がとてもうなづけます。
ストロベリーナイトの主人公・姫川と設定は陰と陽ほどのの違いはありますが
通じるものがあると思います。